前回に続いて淡路島です。
淡路島は、気候に恵まれた大変豊かな土地がらです。一番有名なのは「玉ねぎ」でしょうが、とにかく何でも美味しいのです。海に囲まれているから当然ですが、海産物は何でも、牛肉も豚肉もブランド肉が何種もあり、世界に名高い神戸牛や松坂牛になる子牛たちの産地でもあります。特に私が美味しさに感動したのは、「淡路島バーガー」でした。淡路の玉ねぎと淡路牛を使い、淡路の牛乳を使ったバンズってなんて贅沢な食べ物かと、よくよく考えたら食べるしかないよねーというものでした。でも、あまりに美味しいものがあり過ぎて、3日もいたのに食べたいもの全部は食べられませんでした。バーカーを2回も食べたせいかもしれないですが…。
離島なのに、すぐ行ける島
淡路島は、離島としては(主要4島除いて)日本で7番目の面積を持ち、グアム島とだいたい同じ大きさくらいです。前々から、ひっくり返してはめ込むと琵琶湖にピッタリ合うんじゃないかと思っていたのですが、琵琶湖の方がちょっとだけ広いみたいです(周囲30キロくらい)。離島とは行っても、他の沖縄や奄美、佐渡、対馬に比べると、本州と四国とは橋で結ばれていますから、他の島に比べると行きやすく(そもそも一番大きい択捉・国後には行けもしませんが)、私が訪れた際にも、四国や大阪、広島ナンバーなど各地からの車を数多く見かけました。言い忘れてましたが、淡路島は今、話題沸騰中の兵庫県です。レンタカー屋の若いお兄さんに「有名になってよかったですね」と言ったら、笑って「はい、悪い方にならなくて良かったです」とおっしゃってました。
離島にも残る延喜式神名の一宮
何度もご紹介をしていますが、「延喜式」という平安時代に編纂された法典の中に、「神名帳」という神社一覧があります。この当時すでに格式ある社が3千社弱記載されていて、現在「一宮」などと呼ばれているのはこの中に記載がある社のことです。多くが畿内のあった関西地区に集中していますが、淡路島はもちろん、隠岐、壱岐、対馬、佐渡などの離島にある社もしっかりと記載があります。余談ですが、韓国人のドロボウに仏像を盗まれ13年かかってまだ戻らない対馬の「海神神社」もこの神名帳に名が残る一宮であり、名神大社(より力のある神を祀る社)のひとつでもあります。
淡路島の延喜式神名帳に記載された社は、「伊弉諾神宮」であります。
イザナギが最期を迎えた地・伊弉諾神宮
「伊弉諾神宮」は、島の西側に近い淡路市多賀というところに鎮座します。すべての仕事を終えたイザナギが「幽宮(かくれのみや)」を作って過ごした場所と言われています。この地は、真東に伊勢(皇大神宮・内宮)、真西に海神神社(対馬)、夏至の日出地に諏訪大社(諏訪湖)日没地に出雲大社、冬至の日出地に熊野那智大社日没地に高千穂神社(宮崎県)があるのだとか。まぁ、日本の真ん中だし、延長線上には有名な神社はどこかにあるものでしょうが、伊勢と諏訪、出雲、高千穂が重なるのはなかなか難しいかもしれません。
そんな社では、夫婦円満、長寿のご利益があるとされ、毎年いい夫婦の日(11月22日)には金婚式カップルのお祝い行事が執り行われています。
ちなみに、滋賀県には「多賀大社」というイザナギ・イザナミを祀る大社があり、日本全国の多賀神社の総本社です。古事記と日本書紀の記述がすこーし違っていたため、本当の「幽宮」がどちらなのか結論が出ないまま、現在に至っています。
日本一大きな鳥居「おのころ島神社」
伊弉諾神宮から南東へ18キロ離れたところに「おのころ島神社」があります。この神社は、淡路島が「淤能碁呂島」であるという説に立って生まれた神社でしょう。祭神は、イザナギ・イザナミに加えて菊理媛命(ククリヒメノミコト)です。ククリヒメは2柱のケンカの仲裁をしたとして知られ、結びの神さまとして各地に祀られています。有名どころでは白山神社の神さまでしょうか。縁結びだけでなく、契約・縁・円を結ぶとして金運の神ともされていますね。
また、「おのころ島神社」から西へ400メートルほど行ったところに、2柱が降り立ったとされる「天浮橋」があります。今では住宅街の真ん中になっています。そこから北西北に300メートルくらいのところに葦原国もあります。ロマンのある神社です。
絶景、絶景、ヘトヘトになった「千光寺」詣り
淡路島には、「十三仏霊場」があります。実は「十三仏霊場」は日本全国にあり、関東の秩父と鎌倉に設定されてるものが有名です。
この淡路島十三仏霊場の1番が「先山千光寺」(「淡路四国八十八ヶ所」の一番でもあります)なのですが、イザナギ・イザナミが最初に作った山ということで「先山」と名付けられたと伝わるお寺です。本尊は千手観音、脇侍に不動明王と毘沙門天が祀られていました。この千手さまが大猪に化身して、狩人に矢で射られたという伝説から、お堂の前の狛犬は猪です。
とにかく、急な階段をひたすら登る必要のあるお寺で、本堂前からの景色は確かに絶景でしたが、山寺(山形)に行く時と同じ覚悟が必要なくらいのお寺です。こんな小さな島に置いておくのはもったいないくらいの、しかも拝観料なしにも驚きました。維持も大変だろうと思いましたが、この後私はホテルに帰って倒れ込みました…。覚悟が足りなかった。
忘れるところでしたが、少し離れた場所には「岩戸神社」もあります。
最後に、鳴門の渦の見学もしたのですが、あれは船に乗るより橋の上から、渦に巻かれる船を見る方が楽しいですね。2泊3日だけでは、到底周りきれるものではありませんでしたが、奄美大島に次いで淡路島はお気に入りの島になりました。
私が淡路島がとても気に入った理由のもうひとつは、様々な設備がとても整っていて、清掃・整備が行き届いていたこと、そしてインバウンド客がとても少ないこと(正確にはだいぶいらしていたようですが静かな方たちばかりでした)です。実は、一瞬四国(徳島)に渡ったのですが、淡路島に比べてサービスがよくないと感じて、ほぼトンボ返りしてしまいました。それほど共用施設のサービス(トイレや駐車場など)に違いを感じるほどだったのです。
日本人の人の良さの始まりは、やっぱりこの地なのではないかと感じた次第です。
・関連記事
日本の始まりはどこ?! ここかもしれないオノゴロ島に行ってみた!
きっと神々が棲まうに違いない奄美の島々
金沢と築地の関係は? 加賀一宮・白山比咩神社に参拝
一宮とは何?