令和5年は年明けから波乱含みでしたけれど、天候も含めてまったく予測のできない年になってきました。天気図で「台風」の文字が3つも横に並んでるのを見るにつけ、知らない方が幸せなこともあるかも、などとも思ったりします。そういえば今年の関東は、他の地方に比べると災害が割と少ないのではないでしょうか。昔の人はこんな時、きっと神さま仏さまにお礼を言ったり参ったりしたのでしょう。私も、お彼岸も近いですし関東のどこかにお礼に出かけようかと思っています。
武蔵国を支える水の源流
私の中で、関東で随一のパワースポットは秩父にある「三峯神社」です。秩父は律令時代から「武蔵国」の中でも繁栄していたようで、今も残る「秩父観音札所34カ所」の多くは戦国時代以前に建立されたお寺であり、秩父に多くの人たちの生活があったことを示しています。
関東平野の半分ほどは、坂東太郎(利根川)の流れによって作られたもので古代は群馬県あたりまで湾が入りくんでいました。そんな状態だったので、関東地域に暮らす人たちは必然的に埼玉・東京の東寄り、房総半島の南側に集中していったのでしょう。水運も発達していたようで、東京湾に流れ込む河川が他都市との交流も簡単にしていたようです。
山々に満ちた「気」をもらいに
そんな古くから発展していた秩父にある中でも、三峯神社の何が特に気に入っているかといえば「気」です。
「三峯」とは、ほぼ南北に連なる妙法が岳、白岩山、雲取山の3つの山を指しているのですが、三峯神社の場所はだいたい妙法が岳付近、奥宮のある場所が妙法が岳山頂になります。登山を楽しむ人たちの間では、雲取山までの尾根を渡るルートを辿り雲取山からは、奥多摩方面、埼玉方面、山梨方面へと向かえるようです。このルートを「聖なる道」と呼ぶ人もいるほどです。いずれもそれほど高い山ではありませんが、一体に満ちる「気」は訪れる人を元気にしてくれること間違いありません。
名づけは景行天皇・追慕の旅の途中で
江戸時代の地図でもこの付近から流れ出た川が、最終的に荒川・隅田川へとつながることが明記されています。古代から今に至るまで、東京の中心へ水の道を送る源泉が、秩父であり、キッチリとしたラインがここに存在しているのです。
はるか昔、神代の時代に東征を行った日本武尊という皇子がいました。父である景行天皇から各地の平定を命じられ、東国へもやってきました。そして、この場所からの眺めに感銘を受け、国造りの父母であるイザナギ・イザナミを奉じて祠を作ったことが三峯神社の始まりとされています。その後、帰京の途中で命を落としたヤマトタケルを偲んで、全国行脚をしていた景行天皇がこの祠を知り、三山の美しさを称して「三峯の宮」の名を与えたといいます。
奥宮へは登山のつもりで
三峯神社へは、西武秩父駅からバスで1時間ちょっとかかります。ですから、西武秩父駅近くに位置する秩父神社に比べると、都心からの参拝はかなりの時間と労力(拝殿の標高は1,100メートル)が必要です。ですが、三ツ鳥居から拝殿までの400メートルほどの参道は、肺の中が洗われるような気配を感じます。
拝殿付近の境内も広く、ヤマトタケルの像なども経っていますが、駐車場から奥宮までの約2キロはまさに登山で、へたれの私は足を向けることなく、毎回遥拝殿からの参拝で逃げています。
人気の「気守り」のチェックはお忘れなく
さて、三峯神社のご利益はといえば、厄払いと開運ですが、ここ十数年参拝者が訪れている理由は、「気」です。人間どんな時でも「気」は大事です。勇気、やる気、人気、気分、思いつき(気)、き(気)っかけ、どんなことにも「気」は必ず必要です。そんな「気」をいただきに登る人たちが増えています。毎月1日だけに頒布されていた「白い気」守が人気になりすぎて、付近に渋滞や騒音を撒き散らしたことから、ある時点から現在まで、この「白い気」守の頒布は中止となってしまいました。ですが、他の色の「気守り」は変わらず授与されていますので、是非、一度見て見てください。
眷属拝借で1年難なく過ごせる
そして、ヤマトタケルといえば、山で道案内をしてくれたオオカミが有名ですが、ここ三峯神社でも眷属としてオオカミが祀られています。そして、この神さま(大口真神)を1年間お貸しいただき、一家あるいは一帯を守護してもらうことができます。火難・盗難・諸難除として、古くから伝わるお守りです。1年が過ぎたら必ずお返しにあがってください。
オオカミは大神と表記されることも多く、西欧のオオカミのイメージとは真反対ですね。これは龍に対するイメージの違いとも似ています。神さまについての対比を語ると、日本人と西欧の人たちは成り立ちがまったく違うような気さえします。
ということで、私は近々秩父へ参拝の旅に出ようと思います。ハワイは溶岩による鉄の成分で人間の体が浄化されると言いますが、このあたりでは鍾乳洞が多くあり、石灰岩でできた土地柄なのだろうと思います。きっと、ヤマトタケルの時代から、この土壌の性質が人間に何かしらの影響を与えているに違いありません。少しばかり仕事が忙しくなりそうなので、「気」をたくさん充電してきたいと思っています。